「授業で習った記憶はあるけれど、憲法について説明できない」
「憲法がどうして作られたのか知りたい」
とお悩みの方に向けて、この記事では憲法の意義と内容について解説していきます。
基本的人権についても触れていきますので、権利や義務、平等について興味のある方はぜひチェックしてください。
憲法とは何か
憲法とは国民と国との間に結ばれた、守るべき約束のことです。
憲法の中には国民の自由を守るため、国がしてはいけないことや、すべきことが書かれています。
憲法の意味と種類について、以下で詳しく解説しているのでぜひ参考にしてください。
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憲法の意味について
先ほども言ったように、憲法は国が国民と結んだ約束です。
憲法ができる前、国は勝手に法律を定め一方的に国民を処罰したり、国に文句を言った人を処刑したりしていました。
しかしこうした状況が続けば、国民は自分の思う通りに生きることができません。
そこで憲法という形で国がやってはいけないことを文章にして定め、国の行動を制限することで国民の自由を守っているのです。
先ほど憲法は「約束」だと説明しましたが、実際の憲法は約束より効力が高く、憲法に違反する法律を国が定めることはできなくなっています。
また憲法は国民の自由を守るために必須の決まり事となっているため、法律と比べ改正にはかなりの手間がかかります。
憲法の種類
国民の自由を守るために定められた憲法ですが、様々な基準で分類することもできます。
憲法の分け方は複数ありますが、ここでは形式による分類と、改正の手続きによる分類を紹介します。
ますは形式による憲法の分類方法です。
憲法がはっきりと紙などに書かれたものであるか、そうでないかという違いで憲法を2種類に分けられます。
憲法が明文化されているものは「成文憲法」、はっきりと定められていない憲法は「不文憲法」と呼ばれています。
成文憲法は日本をはじめ多くの国で取り入れられており、憲法の内容について誰もが確認できるようになっています。
一方不文憲法の国では憲法が文章にされていないため、法律や憲法関連の判例、憲法にまつわる慣習などが実質的な憲法です。
不文憲法はイメージしにくいですが、イギリスなどの国で実施されています。
次に、改正手続きによる分類です。
改正手続きのしやすさによって、憲法は2種類に分けられます。
通常の法律と同じように改正できる憲法を軟性憲法、改正に特別な話し合いや手続きが必要となる憲法を、硬性憲法と言います。
日本の憲法は硬性憲法ですので、通常の法律改正の手続きでは憲法の改正ができません。
日本国憲法
日本国憲法とは、現代日本で有効な憲法のことです。
交付されたのは第二次世界大戦後、1946年のことでアメリカの強い指導のもと作られたとされています。
主な内容としては、
天皇を象徴とすること
国民が主権を持つこと
戦争を放棄すること
基本的人権を保障すること
地方自治を行うこと
などがあります。
日本国憲法は出来てから一度も改正されておらず、現代の考え方に合わせて憲法を見直すべきではないかという声も高まっています。
今後憲法改正に関する議論はさらに激しくなると見込まれているため、憲法の内容について個人でも見直しておくと良いでしょう。
憲法をさらに詳しく解説
ここまで憲法に関する基本的な事項を解説してきました。
しかし日本国憲法の具体的な内容について、よく分からないという方もいるでしょう。
ここからは憲法の中で特に重要とされる3つのポイントについて、憲法を読んだことの無い方に向けて詳しく解説していきます。
法の下の平等
日本国憲法の第14条尾では、国民が法の下に平等であるということが定められています。
具体的には、人種、信条、性別、身分、出身地(門地)によって国が差別をしてはいけない、という意味になります。
もし国が税金を多く納める人に対して、殺人罪を適用せず無罪にする、と決めたら大問題です。
国民によって国が扱いを変えると、特権階級が生まれ国民の自由が侵害されてしまいます。
同じ法律を同じように適用することが、法の下の平等を守ることなのです。
基本的人権の尊重
基本的人権とは、人間が生まれながらにして持つ権利のことです。
憲法では国民の持つ権利を「侵すことのできない永久の権利」としており、国民の権利を侵害する法律を作ることはできなくなっています。
基本的人権には、自由権・平等権・社会権などがあります。
これ以外にも、「環境権」「知る権利」基本的人権として考えられるものは増えてきています。
国はどんなことがあっても、この基本的人権を侵すことはできません。
ただし法律を犯し逮捕されたり、刑務所に入れられる場合では、権利の一部が制限されます。
地方自治
地方自治とは、その地域に住む住民が地域のことに関して自分たちで決めることを指します。
現在は都道府県や市町村などの地方自治体で「地方自治」が行われており、その地域の長や議員は住民たちが選挙で決めることとなっています。
憲法では、この地方自治が第8章で保障されています。
日本国憲法制定前は、地方自治に関する規定が十分ではなく地方は国の言うとおりに動くしかありませんでした。
しかし現在は、地方独自の決まり(条例)を作ったり、住民の事情に合わせて新しい施設を作ることも可能です。
憲法における権利と義務
憲法では、国民の持つ権利と同時に義務についても書かれています。
以下では、基本的人権と国民の義務について解説していきます。
国民として持っている権利や義務について、改めて考えてみましょう。
基本的人権
憲法で保障されている基本的人権は、人間が人間らしく生きるために必要なものだとされています。
誰かに命を奪われたり、差別されたり、傷つけられたりする社会では、基本的人権が守られているとは言えません。
国民が国からの暴力を恐れず自由に生きていくために必要なのが、基本的人権の尊重なのです。
基本的人権としては、以下のようなものが挙げられます。
安定した生活を送る権利
教育を受ける権利
差別されず、平等な扱いを受ける権利
自分の考えを自由に発表できる権利
他人に身体の自由を奪われない権利
自分の信じたい宗教を自由に信仰する権利
最近では基本的人権として一般的な社会権、自由権、平等権などのほか、環境権や知る権利なども人権の一つとして考えられるようになってきました。
現代において必要な権利はどんどん変化していますので、今後さらに新しい基本的人権が生まれる可能性も十分あるでしょう。
国民の三大義務
国民は全て基本的人権を持っていますが、日本に生きる国民として、義務も課せられています。
国民の三大義務として日本国憲法に定められているのは、以下の3つです。
教育の義務
勤労の義務
納税の義務
まず「教育の義務」とは、自分の保護する子供に教育を受けさせなければならないとする義務のことです。
具体的には、全て国民には教育を受ける権利があるので自分の子供にも教育を受けさせよう、という意味になっています。
子供に教育を受けさせなければならない、という所から「義務教育」は生まれているのです。
次に、「勤労の義務」です。
勤労の義務とは、国民が国から社会保障を受けるためには働かなければならないという意味です。
仕事が出来るのに仕事をせず国の保障だけを受けるのは辞めよう、という意味なので、無理やり国によって労働させられるわけではありません。
最後に、「納税の義務」です。
国民には、必要な税金を負担する義務があり、脱税などを行った場合には罰金の支払いを求められます。
「どうして税金を払わなければならないのか」と思う方も少なくありませんが、国民が税金を支払わなければ、国の仕事を担う公務員などが生活できなくなります。
また道路などを整備するお金も無くなるので、国民の安全な生活を維持できなくなるでしょう。
国民の暮らしを守るため、国はお金を持つ必要があるのです。
義務とは、「やらなければいけないこと」ですので、やらなければ罰則が課されます。
普段国民の義務を意識して生活している人は非常に少なく、誤って理解している人も少なくありません。
時間のある時には国民の義務について書かれている条文を読んでみると良いでしょう。
まとめ
憲法とは、国民の自由を守るため定められたもので、国民の自由を縛るものではありません。
全ての法律の元となっている憲法を理解することで、権利や義務についてより深く理解できるようになります。
憲法をまだ読んだことが無いという方は、ぜひこの機会に主要な条文をチェックしてみてください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました(*'▽')