護送船団方式とは
護送船団方式は重要な権限や機能を持つ船を、護送船を使って護送するように、守りながら何かするような方式・行政のやり方のことを言います。
護送船団方式という言葉が用いられるのは、日本の金融の仕組みと、企業の経営方針といった仕組みに関する所でよく用いられることが多いです。
では護送船団方式をより理解するために、それぞれの分野での使い方を見ていきましょう。
関連
金融・銀行
護送船団方式という言葉は、戦後からよく使われるようになった言葉です。
その経緯として、金融業界では様々な恐慌を繰り返して、その度に国民を不安にさせてきた歴史があります。
世界では1929年の世界恐慌や1931年の昭和恐慌などが挙げられます。
そのため金融業界・銀行業界で銀行を潰してしまうと、信用やお金の流通などの点で大きな悪影響が出て、国民に甚大な被害が及ぶことから、絶対潰してはいけないとされるようになりました。
再度、金融危機を起こしていけないとされ、法的整備や金融組織の改善などが行われて、強固な規制が生まれ、それを護送船団方式と呼ぶようになったんですね。
実際に政府は銀行に対して手厚い保護を与えて、複数の規制によって守られた金融制度が出来あがり、護送船団方式の運営の下に銀行の経営が行なわれるという状況になりました。
規制の内容として銀行を補完するためのルール、競争を制限するような規制、銀行の経営安定化の規制などがあげられます。
このようなルールが生まれたことから、戦後まもない時期の銀行の重要性が分かりますね。
例えばある金融機関が潰れそうになったときは、日本銀行の信用創造機能による特別融資で破綻を防いだ歴史もあります。
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世界恐慌とは?|対策や当時の各国の状況について
現在の金融・銀行
しかし現代では様々な技術やグローバル化によって護送船団方式が崩れ、競争原理の働く新しい方式をとらざるを得ないのが銀行の現状になっています。
ニュースやメディアで銀行の必要性が問われていたり、就職活動の銀行の人気ランキングが減少していることも、守られてきた銀行の確実な地位が崩れている証拠なのではないでしょうか。
このような世界の流れの中、護送船団方式によって外国からの影響を防ぐ方法では、金融機関を守り続けるには無理がでてきます。
これから護送船団方式で生き残ることのできない金融機関には、戦略的選択が求められます。
経営・行政
護送船団方式は内部環境を外部からの影響から守り、自国内の利益を守るために用いられた方式です。
しかしインターネットや様々な技術の発展により、日本はグローバル化を強いられた環境にいることは、みなさんも知っていることでしょう。
国が経営や行政といった視点で、内部環境を守り続けるのが難しくなっている現代では護送船団方式をとるのは難しくなっているのが現状です。
護送船団方式を良しとする前提条件として、外部からの影響が少ないことが条件として挙げられます。
実際に護送船団方式によって高度経済成長は支えられ、日本を経済大国にしました。
しかしこの方式を取ることで、競争がなく企業は挑戦する力を失ったり、世界基準で見たときにつぶれるはずの企業が存続し続けてしまうといったデメリットが存在します。