ギリシャ危機の原因
ギリシャの借金が増加し、債務返済が難しい状況になっていることが、2009年の政権交代で発覚しました。
発覚したギリシャの財政状況から、財政破綻を起こすのではないかと不安視する声が強まり、ギリシャ国債の格付けが引き下げられました。その後2010年には、EUの株式価格が下落し、EUの通貨であるユーロが売られる現象が起きました。
当時ギリシャの国債は、同じユーロ圏内にあるドイツやフランスが多くを保有していました。そのため、ギリシャが破綻すれば、国債の価値はなくなるため、それを保有していたドイツやフランスなどの財政状況も悪くなり、その流れがEU全体に広がり、ユーロへの信用が低下し、ユーロの価値が減少していく動きが見られました。
ギリシャと同様に、財政に課題があるイタリアやポルトガルなどのEU加盟国なども、この流れにより財政が悪化する危険性があり、EU内での信用低下が連鎖し、それが世界にも拡大していくリスクが国の財政破綻にはあります。
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ギリシャ債務が拡大した原因
もともと財政状況が良くなかったギリシャは、国債を発行してお金を借りるには、高い金利を支払う必要がありました。
しかし、EUでは金利が低めに統一されていることから、安い金利で借金をすることができ、必要以上に国債を発行したと考えられる。
ギリシャでは公務員が多く、給与が高いことから人気の職業です。そのため国が公務員に支払う給料や待遇から多くの出費を重ねていました。
これにより、債務が拡大したことも理由の一つです。
ギリシャ国債を多く保有している国が経済力のあるドイツやフランスだということから、なんとかなると考える思考が強かったのではないかと予想できる。
ギリシャ危機当時の財政状況
ギリシャの2009年度の財政の赤字は、GDP約30兆円の13%にもなりました。
つまりギリシャは、1年間に約4兆円の資金を借り入れて、国の行政を行っていたということを意味します。
その結果GDPの100%を超える30兆円以上の、赤字ができてしまい、一年にどれだけ、国ががんばっても返せない額の借金をかかえることになってしまいました。
現在の日本の財政状況
日本の債務残高は、GDPの200%程度の額になっています。それに比べ、ギリシャの2009年度の債務残高は、GDPの113%程度で、デフォルトの危機に直面していました。
借金を国内にしているのか、外国にしているのかで、大きく状況が変わることが、このギリシャ危機からも分かります。
また日本の債務残高が約900兆円で、ギリシャが35兆円であることから分かるように、もし日本が財政破綻を起こすと、ギリシャの約25倍以上のダメージが日本だけでなく、世界中に拡大することが、予想できます。
しかしなぜ日本はデフォルトに陥らないのでしょうか。
もし、日本の財政状況が悪化した場合を考えると、国は預金封鎖という措置が取られることが予想されています。
預金封鎖とは、国民が銀行などからお金を引き出せなくなる現象で、そんな時期が近いのではと世間を騒がせています。
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ギリシャ危機の今後は?
ギリシャが債務を返済することができず、デフォルトを起こすと、EUに与える影響が大きいため、各国はギリシャに支援を行う方針を取り、協議をしています。
支援を行う条件として、増税や公務員の待遇海改定、緊縮財政、公共事業の民営化などが支援をうけるための条件として課されました。
その後は、ギリシャは条件に取り組み、財政面では徐々に改善の方向に向かっていましたが、景気の低迷や、国民の不信感は高くなり、デモなどがおきるような事態になりました。
その結果、2015年のギリシャの総選挙では、反緊縮派であるチプラス首相が選任されました。
反緊縮はであるチプラス政権が、緊縮財政の努力なしで緊急追加支援を求めるためEU諸国からは強い不満の声が上がっていました。
そのためギリシャをEUから離脱させようという意見も中にはありました。
その後、チプラス首相は国民投票を行い、国民は反緊縮財政の方針を選びましたが、首相はその方針を取らず、EU各国からの厳しい条件をのみ、一時的にはデフォルトを回避することができました。
しかしギリシャの債務問題が解決されたわけではなく、借金返済を借金でまかなった状況にすぎません。
今後はギリシャ緊縮財政を取りながらも、よい方法を考えていく必要があります。